第1回 モエレ沼公園

北海道札幌市東区にある大きな公園。

大きな公園といっても遊具がたくさん置いてあるわけではない。

 

人工的な山と大きなオブジェ、ガラス張りのピラミッド。そして広い芝生。

まるで異世界にきたかのような感覚に陥るそこは、彫刻家イサム・ノグチが造り上げた、「大地の彫刻」とも呼べる場所である。

 

当ブログ最初となる今回は、このモエレ沼公園について芸術ど素人が紹介したい。

 

2005年に竣工を迎えたこの公園は、もともと広大なごみ処理場であった。

イサム・ノグチはこの広大な土地を、「大地を彫刻する」という彼が長年温め続けていたコンセプトでもって開発することを決めた。

残念ながら彼は1988年12月に亡くなってしまうが、遺志は引き継がれ、多くの彫刻が大地に刻まれることとなった。

 

私はこの公園の特筆すべき点は、設置されるモノの日本らしくなさだと考える。

多くの日本の公園ではモノを設置するときに意味とルールを付与したがる。

たとえば記念塔。それがどんなかたちであれ、何かを記念して作られたアートであり、よじ登って遊ぶための遊具としては扱われることはない。噴水にしても、立ち入りを禁止する場所は多いし、ベンチだって寝転んで占領していてはひんしゅくを買う。

遊具には遊び方のルールがあり、滑り台で泥遊びは怒られるし、最近はボール遊びや集会すら禁じる公園も多い。

つまるところ、自由さを許容していないように思えるのだ。

これはこうして使いなさい。これはこのためにあります。これが多くの公園の在り方である。

 

一方でモエレ沼公園にある遊具は不思議な形をしているものが多く、特に遊び方が指定されているわけではない。

その最たるがプレイマウンテンと呼ばれる山だ。

一面はまるでピラミッドのような石積み、また別の一面は急峻な芝の斜面と様々な側面を持つこの山だが、使い方も人それぞれである。頂上から景色を眺める人、石段に座りランチするカップル、斜面を駆け降りる子供、逆に駆け上がるスポーツウエアの人。

多くの人が自分にとっての最適な使い方を見出して、好きなだけ過ごしているこの公園は、そこで行われる人々の自由な営みまで想定した、まさしく「大地の彫刻」となっているのだろうと思う。

 

moerenumapark.jp